最近、ニュースやネット記事などで「百日咳(ひゃくにちぜき)」という言葉を目にすることが増えてきました。
正直、「え?それって昔の病気じゃないの?」と思った方、多いのではないでしょうか?
私もその一人でした。
実は私は母から「自分が赤ちゃんの時、百日咳にかかって死にかけたのよ」と聞いたことがあり、「そんな時代もあったのか、今となってはもう過去のことだなあ」とどこかで思っていました。
でも今、2025年の日本で、再び百日咳が流行しています。
現在の感染状況(NHK 感染症データと、医療・健康情報)
東京都感染症情報センターのデータからも、2025年は百日咳が増え続けている状況がわかります
百日咳ってどんな病気?
百日咳は、**百日咳菌(Bordetella pertussis)**という細菌によって引き起こされる、強くて長く続く咳を特徴とする感染症です。
特に特徴的なのが、次のような症状です:
- はじめは普通の風邪のような症状(くしゃみ、鼻水、軽い咳など)
- 数日後から、発作的に咳き込む(「コンコンコン……ヒュー!」という特徴的な音が出ることも)
- 咳の後に嘔吐してしまうことも
- 夜間に咳がひどくなり、眠れなくなることも
- 乳児では呼吸停止を引き起こすこともあり、命にかかわることも
一度かかると、数週間から数か月にわたって咳が続くため、「百日」咳と呼ばれています。
なぜ今、また流行しているの?
1)ワクチンの効果が永遠ではなかった!
実は、百日咳のワクチン接種は1950年代から始まりました。
1970年生まれの私も、1968年から全国で定期接種が始まったこともあり、自然とワクチンを受けていた世代です。
だから、「百日咳なんてもう大丈夫」と思っていたのですが……
なんと!百日咳ワクチンの免疫効果は、4〜12年で低下することがわかっています。
つまり、大人になった私たちは、すでに免疫が切れていて、感染のリスクがあるということ。
2)コロナ禍がもたらした「免疫の負債」
2020〜2022年、新型コロナウイルスの流行により、私たちはマスク、手洗い、外出自粛を徹底していました。
その結果、百日咳を含む多くの感染症が一時的に激減しました。
でもその反面、体が「免疫をつける機会」を失っていたのです。
これを医学的には「免疫の負債(Immunity Debt)」と呼びます。
つまり、「かかるはずだった感染症にかからなかった分、今になってまとめて流行している」という現象。
さらに一部の研究では、コロナに感染した後、免疫機能が一時的に弱まることが報告されています。
そのため、「ワクチンを打っても抗体がつきにくい」「風邪をひきやすい」「咳が長引く」といった人が増え、百日咳への再感染も起こりやすくなっているのです。
一番守りたいのは「0歳の赤ちゃん」
百日咳は、特に生後6か月未満の赤ちゃんにとって命に関わる病気です。
実際、アメリカやオーストラリアの調査では、百日咳で入院する人の60%以上が1歳未満だとされています。
ワクチンは生後3か月から接種開始ですが、生まれてすぐの赤ちゃんはまだ免疫を持っていない状態。
だからこそ、「周囲の大人が感染源にならないようにすること」がとても大切なんです。
どうすればいいの? ~私たちにできること~
✅ 妊婦さんへのワクチン接種
2015年、WHO(世界保健機関)は、妊娠中の母親に対して百日咳ワクチンの接種を公式に推奨しました。
妊娠中に母親がワクチンを打つことで、赤ちゃんに抗体を渡し、出生後しばらくの間、百日咳から守ることができるとされています。
多くの国では「Tdap(破傷風・ジフテリア・百日咳)」という成人用ワクチンを使用していますが、日本ではまだ未承認のため、通常のDPTワクチンを使用します。
今後の日本での承認と普及が期待されています。
✅ 赤ちゃんの周囲にいる人も、ぜひ任意接種を
パパ、ママ、おじいちゃん、おばあちゃん、きょうだい、保育士さんなど……
赤ちゃんと日常的に接する人が百日咳の免疫を持っていないと、赤ちゃんにうつしてしまう可能性があります。
現在は大人への百日咳ワクチン接種は「任意接種(自己負担)」となっていますが、特に乳児と接する人は前向きに検討してほしい対策の一つです。
最後に:知って、守って、大切な命をつなごう
百日咳は「昔の病気」ではありません。
そして、私たち大人が気をつけることで、小さな命を守ることができる感染症でもあります。
「え、百日咳って今もあるんだ」
「私、もう免疫ないかもしれない……」
そう気づいた方がひとりでも増えたら、それはとても大きな一歩です。
正しい知識をもって、そしてできることを実行して、
私たちの周りにいる赤ちゃんを、一緒に守っていきましょう。


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